小雪たちとの待ち合わせ場所に向かいながら、あたしはおなかに違和感を覚えた。
なんか…いやなかんじがする。
飲みすぎたから胃がもたれてるのかな…
他に心当たりないし。
でも…
何か違う。
前にもこんな感じ、あったような。
いつだっけ
なんだっけ…
「桃花ぁ」
小雪がコウジさんと手を振っている。
「あ、お待たせ」
今日は、新しくできたイタ飯屋さんに行くらしい。
小雪たちは何度か行ったようだが、あたしは場所がわからない。
「小洒落てるし、おいしいんだけど、場所が場所だから最初はエエッて思ったんだよねコウジ」
「そうそう。ちょっと、入りづらかったな。ていうかあのへん歩かないよなあんまり」
歩きながら二人はクスクス笑っている。
「えー?なに?なに??」
小雪はあたしをチラっと見た。
「周り、ラブホばっかりなのよ」
ラブホテルに挟まれたそのお店は、なかなか凝った内装でお料理もすごくおいしい。
ただ、ラブホテル恥ずかしい、て年でもないけど、女同士や一人で気軽に歩ける場所ではないことは確かだ。
コウジさんはパスタをおいしそうに食べながら、細い目をキラキラさせながら聞いてきた。
「で?どう、普段の司って」
「意外とまめに世話やいてくれるんだけどね、もう、すんごく口うるさいんだよ」
あたしは昨日のことや、普段の司くんの様子を、口真似を交えながら説明した。
コウジさんと小雪は目を丸くしたり、おなかを抱えて笑ったりしている。
「あっはははは!司クン、可愛いじゃん!」
「可愛いばっかじゃないよ。すーぐ、ちょっとサツキさぁん!なんて文句言ってくるんだから、ウルサイったらないよ」
小雪は冷やかすような目であたしを見た。
「なによ、嬉しそうに…ね、コウジ」
「そうだね。こんなによく笑って喋る桃花ちゃん、初めて見る」
コウジさんと小雪は、うなずきあってからあたしの顔を見た。
「…そうかな」