あれから早紀は、1週間以上仕事を休んでいる。

大丈夫?そんなに悪いの?とメールをしてみたけど、返事はない。

お店にはちゃんと連絡があったらしく、

風邪こじらせたみたいだよ、と店長は言ってた。

風邪でこんなに休むものなの?

あたしは不審に思った。

早紀もあたしと同じ実家暮らしだから、一人で寂しく寝込んでたりっていう心配はないけど、

それにしても、

メールの返事くらい…

それとも、何日もケータイを触れないくらい、風邪ひどいんだろうか?

相談したいことがあるって言ってたから、もしかしたらなにかあったのかも?

でも、本当に体調が悪くてつらいのかもと思うと、

電話したら悪いなと思った。

早紀、大丈夫かなぁ。



早紀が休み始めて数日間は、あたしがお店を一人で片付けていたから、

ここぞとばかりに店長はあたしの体をむさぼった。

お店で初めてした日以来、

店長に触られて嬉しいという気持ちはなくなって、

ただ行為が終わるまで耐えるだけになった。

店長に、嫌ですって本気で言えば、多分あっさりと引き下がるだろう。



でもそれは、嫌だった。



心も快楽もない楽しくないエッチ。

それでも、あたしは店長に必要とされたかった、体だけでも。



だって好きだから。


好きと思っているから。


好きじゃないわけないでしょ?



好きじゃない人の為にあたしは、こんなに悩まない。


好きでもない人の為にあたしは、こんなに悩みたくない。



大事にしてたものをゴミみたいにしたくない。




大事?何が?




そんな疑問は持ちたくないから、あたしはそれについて考えるのをやめた。