「はい。早紀、体調崩したみたいで、心配なんです」

「そう…早く元気になるといいわね」

ホントに。

早紀、大丈夫かなあ。

「今日は、カットとカラーですね」

「よろしくね。ねえ桃花ちゃん、やっぱりあたしのお店でバイトする気、ないの?」

浅田さんはいたずらっぽく微笑んだ。

「あはっ、お誘いいただけるのは光栄なんですが、あたしお酒弱いんです」

「そんなの、上手く断ればどうにでもなるわよ」

「そうですか?でもあたしがお勉強する時間がなくなっちゃうと、浅田さん、ヘアスタイルがワンパターンになっちゃいますよ」

「あら、それは困るわ」

あたしと浅田さんは、顔を見合わせてふふっと笑った。

「あんまりしつこくして嫌われちゃっても、困るしね。バイトはともかく、お酒が飲みたいときはいつでも顔を出してね」

「はい、ありがとうございます。早紀と、行ってみたいねって言ってるんです」

「そう。待ってるわね」

この日も浅田さんと楽しいお話をした。


あたしは、まだ、いろんなことが、うまくいってると思ってた。


でも少し、店長との関係に疑問を持ち始めても、いたから。


浅田さんみたいな大人の女性に相談したら、なんて言うんだろう?

早紀にも、相談したいけど…さすがに店長とそんな関係になってるなんて、言わないほうがいいかな。

そうだ、早紀もなにか言いたそうにしてたけど、何だったんだろう。