「多くない…?」
いつも多いけど、
今日はそれ以上に多い…。
「こちらの品は私が個人的に…」
「そんなことをして平気なの?」
もし“あの人”に
見つかりでもしたら―…。
「大丈夫ですよ。多少のことでし
たら、……国王様に大目に見てい
ただけますので」
「………そう。ならよかったわ」
ふーん…国王様が、ね……。
「旬の栗をご堪能ください」
「ありがとう」
栗…もうそんな時季なのね…。
この深い森の中では、
四季なんてものは皆無。
わかるのは、夏と冬だけ。
(…………なら、春と秋もわかる
んじゃない?)
「では、私はこれで」
「えぇ」
「…………どうか…城に悟られな
いことを…。あなた自身の平和を
心より祈っております。…姫様」
去り際に彼は耳元で
そう囁き、
またも足音もなく立ち去った。

