ワケアリ姫×2(カケル ニ)



「多くない…?」

いつも多いけど、
今日はそれ以上に多い…。


「こちらの品は私が個人的に…」

「そんなことをして平気なの?」

もし“あの人”に
見つかりでもしたら―…。

「大丈夫ですよ。多少のことでし
たら、……国王様に大目に見てい
ただけますので」

「………そう。ならよかったわ」

ふーん…国王様が、ね……。

「旬の栗をご堪能ください」

「ありがとう」

栗…もうそんな時季なのね…。


この深い森の中では、
四季なんてものは皆無。


わかるのは、夏と冬だけ。
(…………なら、春と秋もわかる
んじゃない?)


「では、私はこれで」

「えぇ」




「…………どうか…城に悟られな
いことを…。あなた自身の平和を
心より祈っております。…姫様」

去り際に彼は耳元で
そう囁き、
またも足音もなく立ち去った。