「ユウキ。俺の本当の名前だ」

“ユウキ”

自分の本当の名前を名乗ったのは
いつ以来だろうか…。


思い出せないくらい昔のことだ。

「ユウキ…?いい名前ね」

そう言って笑った。

「なぁ、マリア。ユウキって呼んでくんねぇ?」

「もちろん!!」

「サンキュー…」

つってもすぐ、
城へ戻るんだろうな…。


「ねぇ、ユウキ?」

「ん〜? 何?」

「どうする?」

「……は? 何が?」

「いや、だから、お城に戻るの?」

「戻りたくねぇんだけど…」

「じゃあ、ここに住む?」

…………はっ!?

「いいのか?」

「うん。いいよ」

「サンキュー…」


こうして俺は、
マリアとこの森の中で
暮らすことになった―…。