秀さんと他愛のない話をしていたら、あっという間に学校に着いた。

昇降口で別れて、私は自分のクラスである2年B組に向かった。


「楓、おはよう」

「あ、ゆきちゃん!おはよう」


教室に入ると、入口のすぐ手前に席のある、親友の月城ゆき(つきしろゆき)ちゃんが声をかけてくれた。

ゆきちゃんとは中学からの付き合い。性格はクールで姐御肌。


「さっき、ちらっと見えたんだけど…一緒に入ってきた人は誰?」

「そっか、ゆきちゃん会った事なかったよね。今日から新米教師の、秀さんだよ」

「秀さんって…楓の好きな人じゃなかったっけ?」


怪訝な顔をしながら聞いてきたゆきちゃんに、苦笑いで頷くと、憐れみの視線を受けた。