あたしは朝のカバンの準備を終え、そわそわしている。
たしか、あたしの後ろの席に市原くんが座るはずだ。
何故かあたしの頭に浮かんでくる彼。
ガラッ
「おっ、日向おはよ~」
その名前に反応するあたし。
・・・ドアの方を見ると市原くんがいた。
「お!翔馬じゃん。おはよ」
あの人だ。あたしを助けてくれた。
命の恩人。
あたしは思い切って声をかけようと思った。
「あの・・・ッ」
ちゃんとお礼が言いたい。
「・・・!」
市原くんはあたしに気付いてくれたみたいだけど・・・。
「日向日向~、これ見た??」
「日向ー、この前のことだけどー」
「市原く~ん!ちょっと来てー!」
忙しそう・・・。
市原くんて人気者だな・・・。
どうしよう、これじゃ一生お礼が言えないよぉ。