お母さんが

「せっかくいい高校に通ってるんだから進学しなさい。今年の終わり頃にはどんな専門学校か大学に行きたいかちゃんと決めるのよ」

星流と一緒に勉強をし始めて勉強の楽しさを知ったの。それまでは大嫌いな物No.1だったよ。
あたしの将来の夢?
…実は前々からあったりして。自分の店持ちたいんだ。ネイルサロンの。
高校の勉強も大切だけどもっとネイルの事知りたい。やっぱり“好きな事”を仕事にしたい。難しいし壁にぶち当たる事だってたくさん有るかもしれないけど頑張って夢を叶えたい。
まだ誰にも言ってないんだけどね。だって叶えられなかったらカッコ悪いじゃん!
お店持てたら一番最初のお客さんは星流って決めてるの。次はお母さん。

【真雪?】
「んっ!?ああ、ごめん」
【疲れた?じゃ今日はこれくらいにしよっか…っと、帰るね】

部屋の星空の壁時計を見て星流が立ち上がる。よく行くお店で一目惚れして買ったお気に入り。まるで星流の名前みたいな星空に吸い寄せられるように手に取っていた。

「送るよ」
【桜もう散っちゃったね】

外に出たらほんのり温もりのある風が2人を包んで夕闇が微笑みかけていた。