おしぼりで指を拭い真雪ちゃんの前に座り直して話し始めた。

【あのね、真雪。私毎日泣くことしかできなかった。真雪との思い出の場所で真雪を想って泣くことしかできなかった。誰にも言えなくてずっと引きこもってた。食べ物もくちにしないで自分を責めてばかりで…】

語尾が震えた。グスッと鼻をすする音が聞こえる。

【猛が私を変えてくれたんだ。それからちー助もなんだよ。すごく感謝してるし、大切にしたいひとなの。最初会った時びっくりしちゃった!だって真雪にそっくりなんだもん!真雪もそう思うでしょ?】

くるっと首を回し俺を見て微笑んだ星流の顔が眩しかった。

『それほんとかよ。照れるじゃん』
【ほんとだよ。感謝してるって】

くすぐったい空気が流れててなんだか落ち着かない。腰を浮かして立ち上がろうとした時真雪ちゃんのお母さんが入ってきた。

「星流ちゃんそうだったの…。ごめんなさいね、聞こえちゃったから」
【いいの。おばさんにも聞いて欲しかったから】

優しい眼差しで星流を見やり、俺の顔を真っ直ぐ見てから

「もしかして日浦さん?」
『あっ、はい。』
「そう。あなたのお父さんにお世話になったこと、有るのよ」