ティッシュに涙と少しの残骸

俺の視線に気付き、からかうような態度でそんなに見ないでと背中を叩かれた。
ヒールの高い白のサンダルの爪先には薔薇が咲いている。足首に巻かれているサテン風のリボンが夏らしい。

『普段と違うから珍しいんだって』
【何よそれ、みとれて憎まれ口しか出来ないって認めたらどうなのよ】

このやろ、と両手をあげて掴みかかろうとしたら素早く隣から逃げて振り向いて笑う星流を素直に可愛いと思った。実際そうだ、星流の言うとおりでみとれてしまったんだ。
カフェオレを飲んでふざけながら歩いてたらあっという間に星流の行きつけ店に着いた。不意に男が1人で入るには勇気がいるなと思った。店内は俺には無縁の様々な商品がところせましと並んでそれぞれアピールしているかのようだ。店内の雰囲気に圧倒されていたら星流がシャツの裾を引っ張って尋ねてきた。

【予定金額はどれくらい?】
『1万こえなければ』

にやりと微笑み早速選び始めた星流の後ろ姿を見ながら苦笑いをして何気なく目線を周りに移行したら
美葉と侑一のツーショットが瞳に飛び込んできた。