ティッシュに涙と少しの残骸

星流とちー助と俺は普段通り楽しい一時を過ごした。星流はムキになってちー助と追いかけっこをして、それを俺が笑いながら遠巻きに見ている。
この時間がかけがえのない一時になっていたなんて知らなかった。星流と別れ、自宅へと帰る。飯も風呂も電光石火の様に済ませ、時間が過ぎるのをただひたすら待ち、ちー助を起こさぬよう忍び足で階段を降りて、そ～っと玄関のドアを閉めた。
星流に今いくとメールを打ち、暗くなった夜道をちょっと早足で歩いてく。いつもの河原で待ち合わせ、息を長く吐きながらナイキのパーカーのフードを被った。水の音が聞こえてきたと同時に暗闇にぼんやりと人影が映ったのを瞳がとらえた。確認の為声をかける。

『星流？』
【うん、今晩は】

目も慣れてきたから暗闇でも星流の顔が判った。

【行こっか】

少し切なげに微笑み星流は歩き出した。彼女の左手をそっと握る。