ティッシュに涙と少しの残骸

「不満?有るわよ、山ほど有るわよ!」

今まで見たことのない美葉の気迫に思わず後退りした。

「メールだって電話だってデートだって猛がしてくるまで我慢してた。勉強の邪魔になりたくないから」

俺のケータイが鳴る。星流からのメール着信を知らせる音楽がこの緊迫した空気の中流れた。ケータイを開いて今日は無理だと返信できる状態じゃない。

「誰からなの?」

美葉の視線が痛い。

『友達からだよ』

嘘じゃない。星流は俺の友達だから。なのに美葉は嘘吐きと罵った。

「女の子からでしょ!?毎日会ってるんでしょ!なんで?なんで?私が居るのになんでよぉ!!」

大粒の涙をぼろぼろ零しながら俺の胸を叩く美葉の姿が痛くて、痛くてただ黙っていた。何か言おうとしても今の美葉には俺の言葉はすべて言い訳にしか聞こえないだろう。
今美葉の心はめちゃくちゃだから真実を言っても心には届かないからだ。