その人の顔を初めて見た瞬間、思わず抱きついてしまった。

『え!?ちょっと、あのっ…』
【真雪っ!まゆきぃ…】

だって
そこには
真雪が居るんだもの。
…ん?背おっきいなぁ。腕も回らないし、真雪巨大化した?

『ちょっとごめんね』

少し困った声で私を肩へと担いだ。地面が遠ざかる。思わず叫びそうになり口を手で抑えておとなしくした。向こうから犬が走って此方へ近付いてきた。



『はい、どうぞ』

土手に座りカフェオレの缶を渡してくれる彼に浅く礼をして受け取った。真雪もいっつもカフェオレだったっけ。

『ちー助、お利口にしろよ』
【ちー助くんってゆうんだ。初めまして】

彼の顔を見るのが恥ずかしくて犬に話しかけた。だっていきなり抱きついちゃったし、謝るタイミング逃しちゃって気まずいんだもん。
私の顔をじっ、と丸い可愛い目でみつめてるちー助くん。可愛いなぁ。触るのを躊躇っていたらちー助くんが頬をひと舐めした。

【ふふふ。くすぐったいよ♪】
『あっ!ちー助、こらっ!!』

慌てる彼がなんだか可笑しくてまた笑った。