「すみません」

「え?何?」

いきなり話し掛けられて、男は少々びっくりしているようだった。

「図書館ってどっちかわかりますか?」

「あん?図書館なら、この信号渡らずにあっちにまーっすぐ行って、んで、次の信号渡らずに左行ったらあるよ」

「あっ、そうですか。どうも、ありがとうございました」

「いえいえ」

武志は信号を待つのを止めて、言われた方に歩きだした。

武志は、

『あんな遊んでばっかいそうに見える人でも図書館ぐらい行ったことあるんだなぁ』

などと失礼な事を思いつつ、歩いていると次の信号に近づいてきた。

「あれを渡らずに左だな」

と思って交差点を見ていると、サングラスをかけて、上下黒でビシッと決めている男が横断歩道を渡って来るのが見えた。

「カッコイイな。けど、こういう人は図書館の場所なんて知らないだろうな。いや、こういう人ほど頭良かったりするんだよなぁ。そうすると、女子にモテるんだ、これが」

なんて事を思いながら、その黒ずくめの男とすれ違った。






このまま武志を追う方は、
『次へ』へ。


黒ずくめの男を追う方は、
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