「すみません」

「え?何?」

急に話し掛けられて、克幸はちょっとびっくりしたが、一応応える。

「図書館って、どっちかわかりますか?」

「あん?図書館なら、この信号渡らずに、あっちにまーっすぐ行って、んで、次の信号渡らずに、左に行ったらあるよ」

「あ、そうですか。どうも、ありがとうございました」

高校生は克幸に頭を下げると、信号を待つのをやめて克幸の言った方に歩き去った。

信号が変わると、渡辺はまた、一生懸命自転車を漕ぎはじめた。


しばらく走ると、やっと海が見えてきた。

「ヤッホーっ!着いたぞっ」

渡辺は嬉しそうに声をあげた。

「げーっ。人が多いな」

と、克幸。