執事と共にお花見を。

つい、と空気さえ動かさずに春樹は顔を上げ、正面から恵理夜を捕えた。


「少々、私の意見を申し上げても?」

「ええ、もちろん」


春樹は、軽く咳払いをして告げた。


「私には、子供を、見ているようには思えませんでした」

「え?」

「私の目には、あの老人は、親子の姿を見ているように思えました」

「親子?」

「子供だけが遊んでいる姿を見ている場面は無くむしろ、母親に連れ立たれていく子供の姿ばかり見ているように思えましたよ」