そして、エンジ色のベレー帽を被った老人もまた、同じ公園の同じベンチに座っていた。

老人の目の前には何人もの子供が遊んでいた。


「幼稚園帰りかしら……」


少し離れたところで、母親と思われる集団が話に花を咲かせている。

老人の目は、母親に手を引かれながら帰っていく子供に注がれていた。

白く濁った目だが、穏やかな視線だった。


その時――