「貴方は、いつでも真実から目をそらすことを許してくれないわね」

「……それは、お嬢様を傷つけている、ということでしょうか」

「否定はしない。でも、貴方がいる限り、私は自分の進むべき道を正しい道順で進むことができる気がするわ」

「私は、お役に立てている、とお取りしてよろしいですか」


恵理夜は、何も言わずに微笑むだけだった。

けれど何かを察したのだろう春樹も、ただただ穏やかに車を走らせるだけだった。