「低血圧、ですってね」


恵理夜は、その老人の隣に腰を降ろしながら言った。


「ガキがこんな時間にこんなところほっつき歩っとる場合じゃないだろう」


恵理夜の質問は無視され、そう吐き捨てられた。


「あら、もう学校は終わっている時間なのに」

「一緒に帰る友達もおらんのかっ」


恵理夜は、一瞬言葉を失う。

学校生活に困らないだけの人間関係は築いていた。

しかし、一緒に下校する友達や、休日に遊びに行く友達などは恵理夜にはいなかった。