世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし /在原業平(伊勢物語) 桜の樹の下には、死体が埋まっている /梶井基次郎(檸檬) 散る桜 残る桜も 散る桜 /良寛(沙門良寛) 散ればこそ、いとど桜はめでたけれ、憂き世になにか久しかるべき /作者不明(伊勢物語) 桜花、散りぬる風の、なごりには、水なき空に、波ぞ立ちける /紀貫之(古今和歌集) 解説は「秘密のあとがき」へどうぞ――