海に行こう



「今も、あたしの部屋にあるよ?佑志の卒業証書…」


「佑志はあたしに受かった高校だって教えてくれなかった」


「佑志はあたしの手を振り払って、遠くにいっちゃった!」


「仲良しのグループになっても、全然話さなかったし!」


「佑志は、もうあたしのこと嫌いなんだと思って…あたしも嫌いになろうとし
たのに」


「嫌いになれたと思ってたのに」


「ちゃんと佑志の目ぇみれないし、近くにいると胸くるしくて!」


「だから、離れてたいのに」


「今も気になってついてきちゃうし」


「あたしは、ゆう、しの、こ…と」


なんでかわかんないけど、泣いてた。


ちゃんと喋れない。


ちゃんと伝えたいのに、しゃべれない。


「好き…だから」


二人の間に流れる沈黙。


聞こえてくるのは、あたしのしゃくりあげるような声にならない声。


「ごめん」


目の前の顔が、突然視界から消えた。


しゃがみこんだ佑志は頭を抱えてた。