ピチョーー……ン
コンクリートの隙間から
雨水の雫が溢れ落ちてくる
さっきより
酷く建物も崩れて瓦礫と化し
漂う空気は、生臭い匂いに包まれている
白狼は黙ったまま
どんどん前に進んでゆく
何か確信があるかのように
「そろそろだな」
急に、血の臭いが鼻に突く。
そして1つの広い個室に辿り着いた
そこには…
「…!!?…!!??!!」
そこには異臭を放つ死体があった
所々、腐敗し皮膚が剥がれ
むき出しとなった白い骨には
体毛が絡み付いているのが見える
頭皮はネバつきながら
地面へとズルリッと半落ちしている
その死体の腹からは、黒い霧が留めなく溢れ出ている
正に、おぞましい光景だ
「ぐっ…ガァ…う…ぁ…」俺は嗚咽し、胃の中を全て吐き出す…
胃袋ごと出てしまいそうだ
なのに白狼は
つまらなさそうに
眼を細める
「このビルは滅多に人間が来ない、有名な自殺スポットと、なってんのさ〜ぁ」
……自殺?
