『おはよう、佐原くん』


「あぁ、...おはよ。永井さん」


『今日は、早いねぇ』




学校終わりのコンビニエンスストア。...通称コンビニ。

此処は学校も歳も違う二人が、一緒になる唯一の場所。





「今日〝は〟なんだ?」


『.....〝も〟がいいの?
だって佐原くんいつも少し遅めでしょ?』


「まー、ソウカモネ。あー時給上がらないかなー」


『...いっつもそればっかりだな、キミは』


「どうも」


『(...褒めてない)
コンビニのバイトとしてはさ、高い方じゃんか』




だらだら、と過ぎる時間。
居心地の良い、距離。

隣の君を見下ろしてると、...ほんの少しだけ、不整脈になったりして。



...まぁ、それは仕方ない。

だって、この人が可愛い過ぎるのがいけないんじゃない?






なーんて。

口が裂けても言えないけどね。

そう心で呟いてはごまかすように笑う、自分のヘタレ具合にも最近少しだけ慣れてきた。



素直なのは、頭ん中だけ。

あー、面倒臭い。と思いつつも毎回口に出せたことはない。

残念ながら、度胸や勇気と呼ばれるモノたちは俺にはこれっぽっちも備わっていなかったらしい。