やっぱり和くんも出会った時のことを思い出したのかな??



「初めましてがお前の制服びちょびちょだったよな。」



やっぱり覚えてくれてた…。



急に心が弾んで鼓動が速くなる。



「やっぱり特別なんだよな。俺にとって虹って。」


「………」


あたしもそうだよ、和くん。


でも、やっぱり気付いてくれないこの気持ちは……うーん―…難しい。



流れる雲から…虹が綺麗に顔を出す。



何とも言えないこの空間は初めて和くんと会った雨の日と同じような感覚。



「でもさ………」



急に呟き出す和くんは俯いていて、口ごもる。



同時に、雲のせいで太陽が隠れて辺りが影になって暗くなる。



そんな中、和くんはぽつりとこんな言葉を言った。



「俺達、もう虹なんか見れねぇかもしれない。」



えっ――…???

どう言うこと?



和くんの発言にあたしの表情も曇っていく。



「……和くん…離ればなれになんの??」


転校……するの?


「いや、違う。」



「じゃあ……」



何??


静か過ぎる教室が緊張感を一気に創りだされて、あたしも和くんもただただ見つめる事しかできない。



「―――――…俺、誰にも言ってねぇけど、凛にはちゃんと伝える。」


「うん。」



無駄にドキドキする胸の鼓動は…和くんにも聞こえそう。










「俺、あと3ヶ月しか生きていけない。…余命3ヶ月なんだ。」








………あたしは初めてみた。



和くんが笑っていなくて、眉間にシワを寄せながら、切なそうな、悔しそうな顔。



笑ってない和くんをあたしは初めてみた。