何回掛けても出やしねぇ。
家に行っても部屋の明かりがついてねぇし、帰って来てる様子もなかった。
……女子高生が、なにやってんだよ。
イライラする俺の様子を察したのか、ニヤニヤしながら悟が寄ってきた。
「ゆかりが心配?」
「あ?俺が、じゃなく何かあったらあいつがうるせぇ」
あいつとは、俺らの同級生で同じく悪友の、ゆかりの兄貴。
やると言ったらトコトンやり通し、悪どい考えを持つ男だ。
そのくせ妹のゆかりには甘い。
年が離れているせいなのか分からないが、
かなりのシスコンっぷりだった。
「ふーん、響也がねぇ?
確かに響也はゆかりの事になると他に目が回らないけど。
でも、それだけ?香は心配じゃないの?」
「……知るかよ」