「なぁ、香――――」





「出てくる」






何か言いかけた悟の言葉を遮るように、俺は背を向けた。




……めんどくせぇ。

何やってんだ、あいつは。






どことなく苛つきながら、俺は店を出た。












外に出ると、暖かい気温ではあるが心地よい風が吹いている。




俺はどこか宛てがある訳でもなく歩き出す。
何となく、足取りが早かった。






……何を慌ててんだよ俺は。






どこか落ち着かない。



こんなの俺らしくもねぇ……。





そんな自分に苛立ちを覚え、タバコをくわえ火を付ける。