あいつが聞いたら、どんな顔をするだろうか。




思い出したら可笑しくて、ふと笑みを溢していた。



そんな自分に、俺は気づかずに。






「珍しい~香さんが笑ってる。なぁに、思い出し笑い?」



「何か良いことでもあったー?」





そんな俺に、女子大生たちが少し驚いた表情で見つめていた。





笑ってる?
……この俺が?







「……笑ってねぇよ」





眉を寄せながら不機嫌そうに返した。


グイ、とグラスの中身を飲み干し、らしくもない自分を否定する。





すると、カランと鈴の音が鳴りお店のドアが開くのが分かった。