悟くんたちに視線を向けながら、私は思った。
やっぱり大人なんだなぁ、みんな。
……そんなこと微塵も考えたことなかった。
なーんて、とっても失礼なことを思ったりして。
だって昔から知ってるんだもの。
親もほとんどいない家で、私は一人だった。
それでも何かと時間を作って、
兄さんや香たちが会いに来てくれたこともあったけど。
誰もいない空間は、別に嫌いじゃない。
だって、それが当たり前だったから。
でも寂しい時も、もちろんあって。
だから誰かと一緒なのは嬉しかったこともある。
……それでも、空いた心の何かは埋まらなくて。
嬉しいけど、寂しい。
でも、何かが違う。
様々な気持ちが、私の中で行き来していた。
