白亜の記憶

彼が降りてくると、その白い衣装を引き剥がして、頭からかぶった。

「かりる」

言うと、舞台に飛び上がる。

そっと、ニナに近づく。

艶やかな、その声に、絡まれる。

目を閉じて、高音を歌い上げる、ニナ。

近づくほどに、その顔の端正さがわかる。

ちょっと少年っぽい感じを含んだ、可愛さもある。

目を、開ける。

その、瞬間、白亜の方を見た。

深くて赤い瞳。

その目で。

白亜の鼓動は大きくはずんだ。

コイツ。