「「「お嬢!お勤めごくろうさまです!!」」」


いきなり出迎えてくれたのは、いかつい顔した男たち。


「てめぇら!いい加減学校のことをお勤めって言うのをヤメロ!!何度も言っただろうがっ!」


彼女はいきなり近くに居た、ごっつい男の胸座を掴みあげた。


ドスの効いた声はさっきのヒバリとは打って代わっていた。言葉遣いも普通の女の子じゃない。


俺はびっくりしてちょっと身を引いた。


その気配を察したのかな。


「あ、わりぃ。あたしんちヤクザでさぁ……」


言いづらそうに言葉を濁すと、彼女は恥ずかしそうに笑って頭をかいた。


「まぁ強面揃いだけど、根は悪い奴らじゃないから、そうビビんなくて大丈夫だぜ」


「え、ええ」


「おい、マサ!風呂は沸いてるか?」


「へぃ。ピカピカに磨きやしたよ」


マサと呼ばれた、これまた目つきの悪いいかつい男が答える。


「んじゃ、先に風呂借りるぜ。来な」


彼女は俺の腕を掴んで、ずんずん歩き出す。


背後で、





「あの野郎は何者だ?」

「お嬢の彼氏!?」

「まさか。さっき家の前に立ってたから拾ったとか言ってたぜ」

「よく犬とか猫とか拾ってくるけど、人間ってのは初めてだな」






とヒソヒソ話が聞こえてくる。


って言っても、本人たちは声を潜めているつもりだろうけど、地声が大きいから会話は丸聞こえ。


「ほら。ゆっくりあったまってきな」


そう言われて、俺は風呂場に案内された。