TRRRR…
『よーっす』
のんびりした戒さんの声を聞いて、俺はほっと安堵した。
「今、どこです?」
『どこて、どこかの大通り』
「今から迎えに行きますよって、場所を教えてください」
『なんや、さっきの子はもうええんかい?』
…………
俺は思わず苦笑いを漏らした。
それから10分ほどで戒さんを迎えに行った。
戒さんは大通りに面する歩道のガードレールにもたれ掛かって
女の人二人から逆ナンされていた。
「戒さん!」
俺が声を掛けると、派手な化粧を施した女たちが俺を見て
「や~ん♪こっちもいいじゃない♪」なんて黄色い声をあげ、俺に駆け寄ってきた。年上だろうか、派手な髪型とミニスカート姿のお姉さまがただった。
きつい香水の匂いがつんと鼻腔を刺激する。
「ねぇこれから遊びに行こう♪奢ってあげるから」
女の人は俺の腕に自分の腕を絡ませてくる。
「いや、俺は…」
「固いこと言わないのぉ。遊びに行こうよ♪」
「いや、ええです」俺はきっぱりと言い切ったけれど、ナンパ女はしつこい。
「え~?なぁに??」
無性に苛立っていたのもある。
俺は乱暴に女の手を振り払った。