俺は困惑した顔で河野さんを見た。


いや、俺の乏しい表情で彼女にその気持ちが伝わったかどうか分からなかった。


河野さんは慌てて手を振る。


「ごめん!そんなこと急に言われても困るよね。鷹雄くん彼女居るかもしれないしっ」


口を噤むと、上目遣いで俺を見上げてくる。


「彼女………居る?」


「いや。居てへん」


「じゃぁさ。あたしと付き合わない?あたし鷹雄くんのこともっと知りたい」


河野さんは明るくて可愛いし、おまけに優しい。


学内でも結構人気のある女の子だ。


そんな彼女が何で俺なんかに?と言う疑問はある。






でも、まぁ人が恋の堕ちる瞬間なんて




他人が理解できるわけないのだ。





戒さんの一目ぼれのように―――