「見てみぃ。これ♪」


ベッドにもたれ掛かりながら床に腰を降ろすと、戒さんは写真を一枚取り出した。


にこにこしながらご機嫌に俺を覗き込んでくる。


写真を受け取って、それを見ると女の子が一人映っていた。


カメラ目線じゃない不自然な視線が、隠し撮りであることを物語っていた。


可愛らしい女の子だった。


栗色の長い髪。きめ細やかな白い肌。猫のような大きくてくりっとした目に、長い睫。ピンク色の唇。


可愛らしい…じゃないな。かなりの美少女だ。


俺はテレビとかもあんまり見ないから、分からなかったけれどこれほどの美貌だったらきっと芸能人に違いない。


戒さんがアイドルの写真を持ち歩くなんて意外だった。


彼はいつだって身近で生身の女の子しか興味がないようだったし。


「誰です?これ」





「龍崎 朔羅や」





龍崎……


俺の眉がぴくりと反応した。


どこかで聞いたことのある名前だ。


「お前も知ってるやろ?青龍会直系の龍崎組。あそこの一人娘や」




関東の……青龍会―――……





何でこんな写真戒さんが―――