ふ、風呂!?


「男同士。裸の付き合いだ!お前も付き合え」と、鴇田組長の肩に腕を回している。


鴇田さんは特に嫌がったりはせずに、


「そうですね」と頷いただけだった。


「いや……風呂って言っても、男三人は狭いですよ?」


常識的なことを言ったつもりが、


「誰がここのと言った?」と会長が声を低めて目を細める。


「毎年元旦には銭湯を貸しきってある。そこに行くつもりだ」と鴇田さんが冷静に口を開いた。


「今年はキョウスケが餌食に…」


「かわいそうに。まだ新入りだってのに」


と周りからはひそひそ。


え……何があるって言うの……


不安を抱えつつも、


「ほらっ!行くぞ!!」と俺は強引に会長に引っ張られていった。


「叔父貴。キョウスケに意地悪しないでよっ!」とお嬢がとことこ追いかけてきて、俺を心配そうに見上げる。


「俺がいつ意地悪したって言うんだ。ただ風呂入るだけだろ?」と会長はちょっと心外そうに眉間に皺を寄せる。


「それがすでにいじめだっつーの」とお嬢が顔をしかめて


そりゃそうだ……


と俺も心の中で同意した。