前回俺と会長がウィスキーを飲んだ―――お嬢の亡くなったお母さんの部屋で、龍崎会長はくつろいでいる。


縁側と庭を仕切る襖や窓は全部開け放たれ、庭ではお嬢がしゃがみこんで何かをしていた。


会長はちゃぶだいの上で頬杖をつきながらその様子を温かく見守っている。


「あいつ、何やってんだ?」と会長は聞いてきたけど、そのまなざしは穏やかだった。


「さぁ。何か探し物ですかね」


当たり障りのない返事を返して、俺は湯のみを会長の前に置いた。


会長は穏やかな視線をお嬢に向けて、ちょっと微笑んだ。


薄い口元に浮かべた笑みは俺の知ってるニヒルな笑みではなく、温かく、愛情を感じた。


その黒曜石のような鋭い瞳も和らげて、まるで宝物を見るようにキラキラと…だけどどこか慈愛に満ちた温かい温度を感じる。


俺は彼がこんな風に笑ったところを始めて見た。


あんまり会ったことはないけれど。


それでもこんな風に笑うこともあるんだな―――と、改めて感じた。


お嬢のことを本当に可愛がっているように思える。


まるで親子のように、歳の離れた兄妹のように。





「叔父貴!見てっ!!四つ葉のクローバー見つけた♪」





お嬢が庭先から縁側に向かって走ってきた。


それは嬉しそうに顔をほころばせて。


太陽みたいな明るい笑顔の中に、大人の女が見せる色っぽい表情を見て



一瞬



ドキリとした。





お嬢は




本当に会長のことを好きなんだ―――