「あの...」


「?」


「川嶋さんって...あたしの...お兄ちゃん...ですか...?」


「っ...」


豆鉄砲を喰らったような顔をする川嶋さん


「どうしてそれを...」


「すいません...車の中の話...聞いちゃいました...」


「そう...ですか...」


「教えて...もらえますよね...?」


「...そうですね...知ってしまったんですから...教えろ、と蓮様からも言われておりますし...」


観念したように、川嶋さんは息を吐いた


「どこから話しましょうか...」


「最初から...全部教えてください」


「...分かりました」


そっと笑う川嶋さん


「俺は、ずっと1人でした。家でも、どこに居ても...ずっと1人ぼっちでした。そんな時、俺に妹が出来ました。それが玲華様です...。俺は、すごい嬉しかったです。ついに俺にも妹が、守る家族が出来たんだって...」


あたしは静かに聞き入る


「毎日、母さんのお腹に話し掛けました。早く会いたくて...だけど...母さんは...産んだすぐに赤ちゃんを施設に入れました...」


「俺の家には...子ども2人は育てられないと...そう言われました...やっと...産まれた赤ちゃんを...玲華と名付け...そのまま施設に渡しました...そして...俺が中1に上がった夏...ついに家も取られました...」


嘘...っ


川嶋さんは、今にも泣きそうな目...


「それから...前にも話したようにお父様に拾われ...こうして暮らしています...。玲華様と...久しぶりに会った時には...笑顔が消えてしまって...」