夢みたいだ。


1人暮らしの俺の家。

1人来た筈の東京。


それなのに。

今、目の前には…

「音…」

俺の愛しい心がいる。


まだ、夢のようにしか思えない。

俺の居場所を教えたわけでもないのに、同じマンションに心は引っ越してきた。

それも、俺の部屋の隣。


あの日、あの時。

もう二度と心には会えないと思っていた。


永遠の別れを覚悟していた。

なのに…


「ねぇ、音ってば…」
「…」
「…音っ」


チュッ


…え??

「…!?」
「もうっ…ちゃんと返事し…きゃっ」


俺は心が話し終わる前に冷たい床に押し倒した。


気のせいじゃ…ないよな。

心が、俺にキスをした。