花火が間髪入れずに打ち上がりだした。

圭吾さんが何か言ったけど、音が大きすぎて聞こえない。


なぁに?


圭吾さんが体を屈めて耳元に口を寄せた。


――大好きだよ


そのまま耳の下あたりにキスされた。


心臓止まりそう


ひざから力が抜けて、立っていられなくて、圭吾さんにすがりついた。


ギュッと抱きしめてもらって

自分は大切な存在なんだって思って

もう一人で頑張らなくていいんだって分かって


そして


そして


圭吾さんを大好きだって思って


初めてづくしの夏がわたしの中を通り抜けていく


「圭吾さん?」

「ん? 何?」

「わたし、圭吾さんを幸せにできる?」


圭吾さんはわたしの頭に頬を寄せると

「もうできてるよ」

って言った。



一際大きな音がして夜空を見上げると、満開の光の花が黄金の龍に姿を変え

キラキラキラキラきらめいて

花火の名残のような煙の間に消えていった。