「圭吾さん」

「ん? 何?」

「手、見せて」

「悟に聞いたな」

圭吾さんは苦笑した。


わたしは圭吾さんの右手を両手で受けた。

腫れは引いたようだけど、指の関節の色が青黒い。


「痛かったでしょう?」

「僕に八つ当たりされた司と要の方が痛かったと思うよ。壁の方は平気だったみたいだけど」


わたしは圭吾さんの手に頬を寄せた。


「心配かけてごめんなさい」


そう言った途端に抱き寄せられた。


「圭吾さん?」

「逃げないで。キスしていいって言って」

「いいわ――」

言い終わらないうちに圭吾さんの唇が下りてきた。


えっ

ちょっと待って

長い?

長すぎる!

どこで息継ぎすればいいの?


圭吾さんの胸をたたいて合図した。


「何?」

「息できない」


圭吾さんはクスッと笑った。