圭吾さんは何もきかずにわたしを車に乗せた。


でも後が怖い


家に帰ると、容子オバサンと梓さんがいて『高校生がこんな時間まで出歩いて』ってイヤミを言った。

このままずっといびられていてもいいと思ったのに

「僕が保護者なんだから構わないでしょう」

圭吾さんはあっさり一蹴してわたしを連れ出した。


ああ、このまま自分の部屋に逃げ込みたい


とりあえず部屋に入り、制服やかばんをしまい

「ちょっと疲れちゃったみたい」って言ってみた。


部屋の真ん中で立っていた圭吾さんが

「僕の部屋に泊まる約束だよ」

と念をおす。


ダメか……


優しいけれど有無を言わさぬ強引さで圭吾さんはわたしの手を引いて三階の階段を上った。


市場に引かれて行く子牛ってこんな気分なのかな?


圭吾さんの部屋に入るなり、『先にシャワー浴びておいで』と言われ

部屋から持ってきたパジャマに着替え

濡れた髪を圭吾さんが丁寧に乾かしてくれた


このまま寝ちゃえば何もきかれないよね


「シャワー浴びてくる」

圭吾さんが静かに言う。

「疲れたならもうお休み」


よしっ!


「聞き出すのは明日にするよ」