2年生の春休みに入る前に、荒田香織は担任の教師に呼び出された。

4月から1年間、アメリカからの留学生が来るので、英語が堪能な香織に世話役になってほしい。

そう、教師は言った。

香織はもちろん喜んで引き受けた。

香織は日本人だがアメリカで育ったので、無意味な謙遜はしない。

遠慮が美学と言われる日本で、香織はイライラすることも少なくなかった。

認めてもらった才能は、素直に喜ぶ。

チャンスは確実につかみ、そして最大限の力を発揮してそれをものにする。

それが香織の信念だ。

自分が自分を認めない人を、他人が認めてくれるはずがない。