『僕は…人狼なんだ…』



寝息をたてる陽世の穏やかな寝顔にまた一つ呟く。



まるで言い聞かせるかのように。



それは花嫁に?



いや、…僕自身に…?



いっそ自分を抑制する為の呪文のようだと自嘲的な思いが胸を刺した。










『だが…愛する心に偽りなどけしてないよ…』



己の内に眠る激しい感情に苛まれる。



けれど、



壊さぬように



大切に大切に



これからもおまえを…おまえだけを、愛してゆくから。









――――こんな僕をどうか許して










『……!』



自然と力がこもった指先に、握った細い指がほんの僅か…握り返してくれた。










『愛しているよ…』



心から。



僕は人狼。



――――たった一人の花嫁を、愛する為に生まれた。










―――……