私達は人狼だ。 その嗅覚は普通の人間の比ではない。 情交の跡は肌を交えた相手の残り香ですぐにわかる。 このよく効く鼻を持ち、しかも一族随一の《直感》の力を持つ黒き狼である彼にウソぶいたところで無駄というものだが、素知らぬ顔をしてまた止めていた手を動かす。 「…いっそ知らねぇままでいたかったよ…」 そんな態度の私に、彼は特に噛みついてくることなく、うんざりとでも言いたげに顔をそらしてまた溜め息を溢す。 そういえば彼がこの“人狼の裏事情”を知ったのはほんの数ヶ月前だったと思いおこした。