無我夢中だった。 あがる息すら無視をして、ただ彼に向かって駆ける。 どうしてなのかわかりもしない。 見たことすらない…人。 なのに、 「……ふ…ぅ…ッ…」 …涙が、次から次に…溢れてくる。 逢いたい 逢いたい 意味もわからずそう思う。 「紫衣……!!」 「……ぁ……」 目の前に、無邪気な子供のような笑みをたたえた彼がいる。 ただ君に……逢いたかった。