「かっこよすぎるよ…っ」
「こっち見ないかなぁ!?」
「弟くんと一緒!?」



「………」


帰り道、道の脇に団子になってる女子高生がきゃあきゃあ言いながらこっちをチラチラと見る。

…正確には、清ました顔で前を見てる蒼を見てる…。
制服を見るとどうやらこの近くの女子校の子達らしい。

もしかしなくても弟くんてのは俺のことか?
一応俺のが兄だっつーの!

落ち着いて見える蒼が兄って言われることのが多いけど…まぁ、そうとしか言われねーけども!

これは高校に入学してすぐに当たり前の様な光景になった。

チラリと横にいる弟を見る。



「?なんだ?紅」

「……別に~」



兄と言われる弟は、イケメンで長身で優等生でクールだともっぱらの評判だ。
そんなモテる弟の前に、女子高生の中の一人が友人達から熱い声援を受けて駆け寄ってきた。


「あ、あの…!これっ、受け取って下さい……!!」



真っ赤な顔で差し出したのはピンク色した小さな包み。
匂いから察するに、手作りクッキー?



「……どうも」

「!!!」



クールな素振りで、だけど一瞬で桜が舞い散るように女の子を悩殺した笑みをほんの少し浮かべ、蒼がクッキーを受け取った。
女の子は感激にペコペコと何度も頭を下げて友達と共に走り去って行った。


ベタな青春ドラマかよ。