車内は女物の香水の濃い匂いがプンプンする。

車酔いしそうだ。

車を走らせ早くも後悔していた。

音楽を流したが、俺の知らない洋楽やアイドルの曲ばかりで、つまらない。
仕方なくラジオをつける。

この時間は俺の仕事が終わったぐらいだから、知らない男の声が流れてくる。

つまらな過ぎて本当に酔ってしまいそうだ。

そうならない為に俺は運転に集中して、永原の自宅まで車を走らせた。

車を走らせて10分。

永原の自宅前に到着した。

車を停止させたマンション向かいの、この道路からでも永原の自宅玄関が見える。

が、永原の姿は無い。

「やっぱり、か…」

予想はしていたが、居ないとなると残念だ。