作業部屋の扉を開ける。

作業場を見回し、片付けがされているか確認する。

「…ん?」

綺麗に片付けられた部屋の片隅にバッグが落ちていた。

一瞬で永原の物だと理解する。

拾い上げ、中を確認する。

中には財布や化粧道具、車と自宅マンションの鍵などが入っていた。

永原は家の鍵が無くて困っているに違いない。

早く届けなければ。

俺は急いで血が付着したスーツを脱ぎ捨て、綺麗なスーツに袖を通した。

「さぁて…行くとしますか」

永原の黒いバッグを片手に家を出た。

駐車場には俺の愛車の隣に永原の車が停められている。

俺は少し迷って永原の車に乗る事にした。