私は立っているのがやっとだった。
もう終わるのだろうか…。
純を見ると血でベタベタの手で中華包丁を握っていた。
終わりじゃないと知る。
純は中華包丁を左の肘に当て、上から叩いた。
ジョリッと嫌な音がしたと思ったら、女の肘から下が私の足元に転がっていた。
「ひぃっ!」
小さな悲鳴を上げ、爪先立ちで背中を壁に擦り付けた。
逃げたいのに背中には壁、行く手を阻む女の手。
純は落ちた手を拾い上げ、私の存在なんて気にも留めず、何食わぬ顔で女の手を机に乗せた。
今の純には私が見えていない。
その事に気が付いた途端、恐怖が私を支配した。
上手く呼吸が出来ない。