左手首にはパックリと小さな傷口が開いていた。

鉄格子の部屋で最後に見た時は、肌がつやつやしていて綺麗だったのに、今は張りを無くし無数の細かい皺が青白くなった肌を覆っている。

私が女に釘付けになっていると、純が部屋の隅に置いてある鉄製の机に向かった。

部屋は狭いから私が立っている位置からでも机の上に何が置いてあるか見える。

鉄製の机の上にはメスに出刃包丁、肉切り包丁や中華包丁。

見ただけでギョッとする斧、食事用のナイフ、大中小の3つのスプーンとフォーク。

先の細いペンチ、髪を剃る為のバリカン、大き目の毛抜き。

そしてさっきまで使っていたゴムチューブ。

それらの道具で女がバラバラになるのかと思うと、背筋がゾッとする。

でもここから逃げたいという恐怖感はまったく無い。

むしろ、そんな作業を見れるなんてワクワクする。

そしてそんな作業をする純を素敵だと思った。