「さぁ…ってと」

黒子愛美を“肉の塊”にする事、第1段階は終了した。

第2段階として次は“肉片”にしていく。

地下室の一番奥の部屋、まな板の様な作業台に“黒子肉”を乗せ、血液で変色したゴムチューブを素早く左手首の切り込みに差し込む。

タンクに血液が満タンになるには約20分の時間が必要になる。

「これは今日の分だ」

部屋の外で待っていた永原に紙幣の入った茶封筒を渡した。

今回は黒子愛美ということもあって、いつもより多めに入っている。

「まいどあり。…あのさ、今日は最後まで居てもいい?」

中身も確認しないで茶封筒をバッグにしまいながら聞いた。

「え?」

永原は俺の反応に、呆れたと言わんばかりに大げさに溜め息を吐いた。

「女が肉片になるまで、見てていいかって聞いてるの」

「それは別に構わないけど。何で急に?」

「見ておきたいからよ」

「気持ち悪くなったら、直ぐに部屋から出ろよ。それと作業始めたら集中するから静かにしててくれ」

どういう風の吹き回しか、今回の作業には永原が立ち会う事になった。

20分が経ち、タンクはいつものように赤く染まった。

タンクに刻まれたメモリは3.6ℓをさしていた。

という事は計算上、黒子愛美は48キロになる。

部屋の隅で永原がじっと見ていて、なんだか作業がしずらい。

というか、恥ずかしい。

だがそんな事を考えていたら手元が狂う。

今は作業に集中しないと。